2010年3月7日 by ごきち
◆序章
最近、寄せ集めの TTL−IC で シーケンサーを組んでピコピコ言わして楽しんでいた。
が、しばらくして物足りなくなる。
折角だからRAMを積んで、シーケンスのステップ数をグレードアップするのも面白そう。
そう考えて、簡単なブロック図を書いていると、ブレッドボードに収まらない事に気が付いた。
よし、マイコンも積もう。(笑
ブレッドボードに Z80CPU、RAM、EEP−ROM、8255 を搭載して簡単なコントローラでピコピコ言わそう。
簡単なプログラムなら、ハンドアセンブルのレベルで組めるだろう。
問題はROMライタ。
25年前に組んだZ80ボードにはEEP−ROMの書き込みハードウェアがある。
これを使えば簡単にEEP−ROMに書き込みが出来るのでコントローラが作れる。
まずは、ここ10年ほど通電すらしていないZ80CPUボードを押入れから引っ張り出してきて通電確認。
とりあえず電源は入ったが、動かない。
EEP−ROMのデータが飛んだか?
しかし、DMAモードにして直接ROMのデータを見るとプログラム自体は残っている様子。
増設を繰り返した結線の接触不良?それとも遂に TTL がお亡くなりになったか?
今更修理も大変。
EEP−ROMの書き込み機は別途製作するとして、過去の遺物として記録を残す。
◆製作経歴
高校3年生の冬頃だったと思う。
大学受験に失敗して浪人が決定した頃、登校日にサボって喫茶店の前を通りがかった時。
廃棄待ちのゲーム台が軒に山積みになっているのを発見する。
店のマスターと交渉して一台、テーブル筐体ごと頂いた。
それが動作品だったから性質が悪かった。
日本物産 ムーンクレスタ
たらったら〜♪ たららら〜♪ たらったら〜♪ たららら〜♪ ぴっぴっぴぴぴぴぴっ・・・
当時にしては特徴のあるシューティングゲームだった。
敵キャラは一切飛び道具を持たず、体当たりだけで攻撃してくる。
当たってくると見せかけて引き返したあと、大回りして後ろに回りこんできて浣腸攻撃してくる。
T号機、U号機、V号機と合体して主砲は増やせるが、図体がでかくなるので体当たりされやすい等など。
結構難易度の高いゲームだった。
しばらくはゲーム自体を楽しんだが、10万点に達するまでもなく飽きてしまった。
このPCB、多分オリジナルではなくコピー物なんだろう。
で、このPCBにはCPUにシャープのZ80が入っていた。
小学生の頃からディジタル回路には興味を持っていた。
しかしそれまではあまりマイコンに興味がなかった。
ブラックボックスは嫌いな性格だった。
しかしある程度の仕組みや回路が分かるとすんなり入り込む性格。
タイミングよく、既に電子製作所で働いていた友人からZ80CPUのデータブックを借りる機会があり読破する。
理解を深めるには製作するのが一番。
丁度その頃に、雑誌「初歩のラジオ」でZ80CPUボードの製作記事が連載されたこともありゲーム機から抜き取ったCPUとジャンクパーツを集めて製作したのがきっかけだった。今を思えば勿体無いことをしかたのかも。しかし、探せばROMボードは出てきそう(笑
物流・運送関係のアルバイトをしていた頃に頂いてきた廃棄扱いの機材が家にごろごろあった。特にTTL−ICを含めたロジックICが沢山あったので製作には特に困らなかった。
とはいっても、ゲートロジックが全て揃っていた訳ではない。
ORゲートが無かったので NOR + NOT とか無理やりな回路があったりする(笑
◆仕様の確認
P板はラッピング用のスルーホールP板を流用。
結線はワイヤーも試作P板に使われていた物を剥ぎ取って半田付けで行った。
裏面の写真。配線の種類で年輪が見える(笑
CPU周辺
ノーマルの2.5MHzバージョン。ファンアウトぎりぎりの設計だった為、NECバージョンに差し替えると動かない。
発振回路
10MHzの水晶発振回路。7474で分周して2.5MHzにしている。
DMA/RUNモードスイッチとリセット回路
左のトグルスイッチがDMA/RUNモード選択スイッチ。右はリセットスイッチ。
当初はROMが無く、RAMだけの回路だった。
CPUをDMAモードにしてデータバスとアドレスバス、信号線を明け渡した状態にしておいて、CPU外部から直接メモリにアクセスしてデータを書いていた。
アドレス設定とデータ設定回路
メモリへの手書きアドレスの発生用カウンタ 74161 と スリーステートバッファ 74365 をフル動員してDMAモード時にアドレスとデータをメモリに加える。
当初のRAM 1Kバイト のシステムには3桁のアドレスで十分だった。マイクロスイッチでカウントアップする。
アドレス線のバッファ用に 74LS244 の二階建て基板が見える。
書き込み回路
DIPスイッチをピンセットでぱちぱちする。接触不良時に交換できるようにソケット受け。
赤いボタンが書き込みボタン。トグルスイッチは書き込みデータの表示とメモリデータの表示を切り替える。
メモリ部
RAM 6116 と EEP−ROM 2816
最初は 1kビットの 2114 を 2つ載せたアダプタP板をRAM部分に差し込んで使用していた。
空きバンクには256kビットまでのROM、RAM、EEP−ROMが差し替え出来るようにスライドスイッチを装備。
EEP−ROM書き込み用のタイミング発生用に 74123 のワンショット回路。
スーパーキャパシタと単5電池を併用したバッテリーバックアップも装備。
表示回路
7セグLED表示用 9370 発振回路 555
ディスクリートのダイナミック表示回路。
DMAモードのアドレスとデータを表示する。
手持ちのPNP型トランジスタを流用しているので、明るさがまちまちだわ(笑
外部表示回路
データラッチ用に 8212 が入る場所。
初期の段階では唯一 CPU が制御できる外部表示装置だった。
データのぶつかりがあったのか度々過熱してお釈迦になった。
I/O回路
ペリフェラル 8255
赤外線リモコンの信号を解析したり、外部発振器の制御をしたりと無理やりコネクタでポートを出した形跡がある。
メイン表示 7セグLED x 8桁
9370 x 8個 スタティック表示でかなり電流を流している為電流の消費量は半端じゃない。
音源部
サウンド用といえば定番の AY−3−8910
専ら自動演奏の打ち込み音源として遊んでいた。
どこかに HIT THAT PARFECT BEST の曲データがあるはず。久々に聞いてみたいが・・・修理するか?(笑
左のLEDは外部LCDを駆動する実験をしていた時の確認用だったか。
タイマー回路
確か Z80 CTC を搭載して割り込みプログラムの確認をしていたはず。
周囲には分周用に 4bitカウンタ 74161 の取り巻きがある。
入力装置
ジャンクのキーボードユニットをメインキーボードとして使用していた。
接点にリードスイッチを使用したプロ仕様。
いかん。左側のコマンドキーの機能すらおぼろげになってきた。
◆あとがき
○ADコンバータとDAコンバータを外部に接続してNECのPC8801とリンクさせてオシロスコープにした時は感動もんだった。
○Z80ボードは記録として残したあと廃棄するつもりだったが・・・どこかに開発メモ帳があったはず。アドレスマップが見つかれば修理ができるかも・・・なんか別の方向に発展しそう。ヤバイ。
○10万回の書き込みと10年間のデータ保障というのがEEP−ROMの仕様だったが、軽く10年を超えてもデータは残っている様子。しかし致命的なのはEEP−ROMなのかも。だとすると復活は諦めた方が無難なんだが・・・(笑
おしまい