インバータの原理 久々のTTL−IC工作

                              2010年2月11日 by ごきち

◆序章

 最近、仕事で電動機用インバータの原理を解説する機会が増えた。

 しばらく前に、方位磁石にエナメル線を巻き巻きした物に3路スイッチを組み合わせ、順番にスイッチをぱちぱちすると指針がくるくる回るものを作り、好評を得た。

 実際のインバータでは、その「スイッチ」をパワトランジスタが、「ぱちぱち」をマイコンが担当している。

 電動機が回る原理はともかく、実際に滑らかに指針を回してみたく思っていた。

 つい最近、押入れから TTL−IC がごっそり発掘されたこともある。

 多分 PIC を使えば簡単なんだろうけどここは是非ディスクリートで。

 久々にロジックICで遊んでみる。

 

◆設計&製作

 寝る間際に、手持ちのカウンタやらデコーダを組み合わせて6個のトランジスタを上手く切り替える回路はないか?と落書きしながら寝落ちしてしまった。

 

 デシマルデコーダに7445を使いたがる辺りがマニアック?

 しかし良い回路が思いつかず、そのまま寝落ちする(笑

 

 が、夜中の1時に思いついて目が覚めた。

 シフトレジスタで簡単にできる事に気が付いた!

 

 あらま、D−FF で簡単回路!

 よく考えると、クワッド D−FF もあったわな。 これだったらIC 一個でできる。

 ICは一度ごっそり廃棄したが、年末に残り物が押入れの開けずの段ボール箱から発掘された。

 買ってしばらくほったらかしていたブレッドボードを使い、久々にロジックICで組んでみた。

 

 74175 クワッド D−FF のシフトレジスタ回路

 

 手持ちのTTLは全てド・ノーマル。たまに「H」ハイスピードなんかが出てくる。(笑

 

 74132 シュミットトリガ NAND で、ボタン入力を波形整形

 

 ん?積分コンデンサと抵抗がフレーム外(笑

 

 出力状態の表示。 左から U相−V相−W相、上側が+電源、下側が−電源

 

 TLR102 よくこんな物がスッと出てくるもんだ。

 小学生の頃に初めて買ったLED。当時120〜130円はしたはず。

 10個買ってルーレットを作った記憶がある。

 9Vの乾電池に直結すると頭の赤いモールドが弾け飛ぶ危険なLED(笑

 

 7404 ドライバ用のインバータ・バッファ

 

 フェアチャイルド社のセラミックパッケージ。

 インバータ(DC−AC)回路にインバータ(反転素子)があると解説がややこしくなるが、これがないとドライブできない。

 

 パワトランジスタ回路

 

 実は 2SC945(笑

 インダクタンスを駆動する為、ダイオードの保護回路付き。

 +側と−側の同時通電保護は省略した。

 まあ、hfe=250 として 7404 のドライブ能力は 1mA もないから大丈夫でしょう。

 

 電動機の巻線に見立てたマイクロインダクタ。

 

 スター結線で保護抵抗を直列にいれておく。

 この上に方位磁石を乗せれば電動機になる。

 

 555 発振回路 Cx1 Rx1 のシンプル設計

 

 1Hz〜50Hz程に可変できれば良し。

 

 全体像

 

 半田付け無しでほいほいと組める。ブレッドボードが無かった時は一大イベントだった。

 部分毎に通電チェック、回路を考えながら、ICを探しながら(笑) 約3時間で完成した。

 

◆試運転

 折角なので動画で報告する。

 inv10

  地磁気が影響して一周毎に落ち着く感があるが上手く回っている。

  

◆あとがき

 ○C945 なんかじゃなく、ちゃんとしたパワトランジスタを使えば地磁気に関係なくがんがん回せるだろう。手持ちの部品で簡単に試作が出来た。これを機会に教材でも作るか(笑

 ○途中、ノイズによる誤動作に悩まされた。電源ラインのパスコンが重要だと痛感した。

 ○ブレッドボードで完成してしまうと、半田付けして実機を組み立てる気力が薄れるんだわな。

 ○機会があったらもう一回り大きなブレッドボードも買ってこよう(笑

 

 

 

 

 

 

                                                      おしまい