呼出番号表示器の修理 

                              2019年4月21日 by ごきち

◆序章

 およそ一年前

 風邪で微熱が続くもなかなか休めず、午後半休を取って近所の内科にかかった時のこと。

 当時、気になっていた呼出し案内の表示器を直したい衝動に駆られた。

 7セグメントの3桁表示機のLEDが一つ、セグメント欠けしていて数字がうまく表示されていない。

 表示器に「0、4、5、6、8、9 がうまく表示されません」と張り紙がしてあった。

 

 診察が終わった後、差し出がましいようですが、もし良かったら修理させていただけませんか?と先生に声をかけた。

 数十年前に購入したらしく、修理を頼むと20万円ほどかかるとのことで、騙し騙し使っているとのこと。

 

 ダメで元々、治ったらありがたいとのことで修理したのでここに記録する。

 

◆お医者さんの呼出番号表示器の修理<2018年2月10日>

 1の位の 「f」 セグメントが点かない。

 逆に本来点灯してほしいところが点灯しない代わりに10の位と100の位に点灯の残像が出る。

 

 まずは、症状を確かめるために分解して回路を確認する。

 

 表示器用の12X電源とシリアル伝送用のデータ、クロック、リセット信号がフォトカプラ受けになっていた。

 

 回路は7セグメントx4ケタのダイナミック点灯用ICと8個入りドライバIC、4個入りドライバICとチャイムICという簡単な構成

   

 4つあるフォトカプラの残りはチャイムのトリガだった。

 

 

 諏訪精工舎のオルゴールIC。設定を変えると超有名なセブンイレブンのドア音になったかも。

 

 回路が分かったので、電源とデータラインにボタンを配線していろいろ点灯してみる。

 高校生の頃、Z80ボードの入出力に使っていたユニバーサルボード

 

 8255が載っているが今回はボタンだけ使用する

 

 仮で配線して電源を投入したところ

 

 「f」セグメントが点かない

 

 一旦基板からLEDを外して単独でチェックしてみる

   

 半田吸い取り機、通称「すっぽん」を使って1の位の7セグメントLEDを外す

 

 単独で電流を流すと、ん?光るではないかい?

 

 てことは、ドライバICの熱ダレか?

 

◆修理決行

 構成ICを確認

 

 MC14499P 7セグメントx4桁 ダイナミックドライバ

 

 4個入りオープンコレクタバッファと8個入りオープンエミッタバッファ

   

 TD62164AP と TD62783AP

 

 LEDを元に戻して4個入りのバッファの余りに振り代えてみる

 

 パターンをカッターナイフで切り取り、ラッピング線でバッファを入れ替える

 

 いざ試運転

 

 あらま、成功!修理完了!

 

 何のことは無い、コモンドライバの不良だった模様。

 早々に修理できたことを連絡し、元の場所に装着した。

 

 コモンドライバが熱ダレで不良になったっぽい、あと何年かすれば他の桁も表示不良になる可能性を告げ、自己満足に浸って帰宅した。

 

◆ヒートランをしーとらん(笑

 修理完了後にそそくさと納品して自己満足に浸ること数時間後。

 お医者様から、しばらく点けていたら、またダメになったとのご連絡を頂いた。

 

 修理不良である。

 

 表示器側だけでなくコントローラ側も一緒に持ち帰り、症状を確認した

 

 ただし、配線は持って帰られないのでジャンクで賄う。

 

 9ピンのRS232Cケーブルが手元に無くてよかった。

 表示機とコントローラ間はコネクタこそ9ピンのRS232Cと同じだが配置が全く違った。

 

 RS232Cケーブルだと、アースが共通になっていて元のコントローラ側の電源まで飛ばしてしまうところだった。

 代わりに40ピンのケーブルが見つかったのでこれを改造して表示機とコントローラを接続してみた。

 

 更に、電源スイッチがONでロックしない

 

 よく見ると、タンブラスイッチが変形していてラッチが効かない

 

 しょうがないので仮付で丸型タンブラスイッチを仮配線

 

 電源オンよし!

 

 表示機を接続して確認する

   

 1の位の「f」セグメントが非点灯、代わりに10の位、100の位に残像が走る。最初の症状と一緒だ

 

 故障原因を探る。

 

 LEDが劣化して他のセグメントより大きな電流が流れる

       ↓

 コモン側のドライバICが劣化

       ↓

 バッファの逆電流防止ダイオードを伝って別の桁に異常電流

 

 こんな感じか、、、。

 

 ネットで海外を含めて検索するも、同じLEDとTD62164APは入手不可能。

 MC14499P、TD62783APは海外サイトで入手可能。

 似たようなタンブラスイッチも一緒に海外通販サイトで手配して着荷を待った。

 

◆再修理<2018年3月24日>

 約二週間後、デコーダICとバッファICが到着。

 当然、肝心の4個入りドライバICは入手出来ず。

 

 そこで、電流が流せる小型Trと汎用Trをダーリントン接続にしてバッファの代わりにする。

   

 2SC1318(Ic=500mA hfe=60〜120) と 2SC1815(Ic=150mA hfe=200〜400)

 TD62164APが最大700mAなので良しとする。

 

 ICを全て入れ替える

 

 エンジニアでなくチェンジニア(泣

 

 特製ダーリントントランジスタ

 

 入力保護抵抗に2kΩも装備

 

 故障の元凶と思われる7セグメントLEDを100の位に入れ替え、念の為100の位の「f」セグメントの配線を切っておく。

 

 試運転

 

 正常点灯

 

 ケースに収め、ヒートランする

 

 2日間全点灯で異常なし。<2019年3月26日>

 

 修理完了

 

 ICとスイッチの部品代を頂いて納品した。

 喜んで頂いたうえに、お礼まで頂戴しました。

 こちらこそ、二度もお手間を取らせてすみませんでした。

 

◆あとがき

 たまに行くお医者さんで、前から気になっていた表示不良が改善できた。満足である。

 ヒートランは大切だと痛感した。

 初めて台湾サイトの通販で部品を購入した。AMAZONと違い一度カートに入れると売買が確定する。注意が必要だ。

 海外サイトのカード決済に不安があったので、auウォレットを使ってみた。倍額程度を一旦引き落とした後に振込まれ、購入価格を引き落とされていた。謎だ。

 うちのガラクタも、いざとなれば使える物があるんだわ。そう思うと捨てられないんだわな。

 修理から一年以上経ってからの記録。先生が家内のバイト先に来られると「きちんと点いてるよ〜」っと、にこやかにお話しされるそうです。

 あとから写真を見て分かったが、一の位と百の位の明るさが全然違う。ゼロサプレス表示の為、桁によって点灯時間が変わる。結果、昔のLEDも点灯時間が長いと光度が落ちてくるんだと実感した。

 

 

 

おわり